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いつまでもここに居て

第9章 僕と君の幸福論[21]





絵を描く事がまだ世間的にあまり好ましくない世の中で僕は黙々と絵を書いていた。
呆れて、小言や悪口や蔑み、色んなゴミのような言葉が僕に投げられた。

とても苦しかった、仲間が欲しかった。

嗚呼、こんな事ならずっと家に居ればいいんだ。
そう思ってから必要最低限でしか外に出なくなった。

そんな懐かしい記憶がこの櫻井さんの瞳の奥に隠れているのだ。
絵には性格や気持ちが出るとはこういう事かもしれない。

強く俺の目を見つめる。

なぜ外の世界を見たい?

そんなこと考えたこともなかった。
でも、感情がある僕にはわかる。
教えてあげる。今の僕なら君の質問に答えてあげられる。

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