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いつまでもここに居て

第14章 ※サングリアの深海魚[54]



江ノ島デートと言っても鎌倉も車だったら近い。
大仏を見るために高徳院へ向かう。
「でかい…首折れちゃうよ」
上を見上げながら驚きを隠せないニノ。
「ほら、上向いてたら危ないよ。」
「あっ、」
手を引っ張り、上を見上げているニノが人に当たらないようにする。
1人20円の拝観料で大仏の中に入っていく。
「ニノ、ここ中は入れるよ。ほら、来て」
「わっ…すごい…高い…」

見上げると中はとても広かった。横に広いわけではなく縦に広い。
「こうやってさ…大仏の中に入ってみたけど、要するに大仏の中いる訳だよね、」
「うん」
「そしたら俺、大仏の気持ちとか…わかるのかな。うーん…」
「もしかしてリーダーに言われたから風情を感じたいの?」
「そういうわけじゃないけど…てか、なんで知ってんの?!」
「ふふ。デートの話リーダーに自慢しちゃった。」
「もう!だからリーダーニコニコしてたのか!!」
「まあまあ。…えっと、大仏は皆の守ってくれるような平和の象徴だし、(今日もみんな元気だなあ)って思ってるんじゃない?」
「お腹空いたなあ。とか?」
「あは!それはニノの気持ちじゃない?」
「ばれた?」

えへへと頬を人差し指でかきながら笑うニノ。
「じゃ、ご飯でも食べに行こっか。ニノお腹空いたなって遠まわしに言わなくても良いのに」
「だってさ、風情感じてる中で俺、お腹空いたなあってリーダーに怒られちゃうよ…」
「まっ、それもそうだね」
二人で笑いながら大仏を出て、車に戻った。

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