
いつまでもここに居て
第1章 One more chance?[21,31]
「おーちゃーん!!!」
「あ、雅紀…」
「どーしたの?なんか…えっと曇ってるだっけ?」
「曇ってる?」
「落ち込んでるなーって!」
「うん、ちょっとね」
「大丈夫?何かあったら俺がこの胸貸してあげるから〜」
そう言ってぎゅ。と優しく抱きしめられた。
「ん…」
「どう?元気になった?」
「うん、」
「なら大丈夫だね!このあと確か収録ないよね?呑みに行かない?」
「あ、今日は…」
今日は翔も仕事が終わりの日の筈だ。
多分今日は翔も家にいるはず。
「あ?もしかして先着いる?」
「あっ…いや、そーじゃなくて、」
「大丈夫だよ、【翔クン】にはちゃんと伝えておくから」
「ーーーえ?」
雅紀はニコリと笑った。
俺は雅紀に言ってない。翔か?いや、翔はこんな話を雅紀になんてしないはず。
疑問ばかりが頭に浮かんで、とっくに引っ張られていた手が解かれた時にはもうタクシーの中にいた。
