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いつまでもここに居て

第3章 本当の審議を[21]



□大野part□

ほんとは合鍵なんて持ってない。
翔くんがサクライくんを知ってパニックにならないように、言い訳を考えておいてある。
見せた鍵も偽物。開けてくれたのはサクライだから

「言えない。」
そう言われても、待った。
「ねえ、翔くん、俺にも教えてよ…教えられないことなの?」
「ちがくて…智くんごめん…!ちがう…」
「大丈夫…待つから。」

「いい所で、ごめんね?我慢出来なかったわ」
せっかくいい雰囲気をサクライに壊された。
噛み付くようにキスをされた。
翔くんの身体をしたサクライ。
「サクライくん…なんで…」
「だって、あいつ言わないんだもん。多分あのまま待っても返されるだけだぜ?ね、それよりもさ、僕とのキス良くない?智くんのキス本当に好き、」
息を吸えないくらいに貪るようにキスをされる。
いつもの優しい翔くんからは予想もできないことで。

「はっ…」
「何回しても智くんのキスはいーね…この先もさせてよ…」
唇がやっと離れ、唾液が繋がり、キラキラした生糸みたいになっていて。

「やだ。この先は絶対させてあげない」
「ふーん。ならいいや。じゃーねん。後は楽しんでよ」
「え、」

その瞬間に頭だけがくりとさせ、意識を飛ばした。
やばい、やばい、ずっと黙っていたのに。

初めてだった。こうやってサクライが突然消えたりするのは。

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