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ねがい*ごと

第6章 優しい貴方


「今そっちへ行くから動くなよ…けど足がもつれる…くっ」

実際なかなか奥へ進めなかった。
彼女は言う。

「どうしてここへ来たの?」

「お前の体が心配だからに決まってるだろっ」

「…っ」

亜沙美の頬は濡れていた。


「その子は?…その子は誰なんだ?」

「えっ、優矢見えるの?この子が見えるのねっ!?」


「ああ、見える!だから教えてくれっ…」


少女は亜沙美の手をぎゅっと握りしめ、俺をじっと見ていた。

「っ」


そのつぶらな瞳は、俺に何かを訴えかけているように思える。

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