俺氏、捨て子を拾いました
第5章 今日は何する? 息をする
「すごいです!! 色々なお店が並んでます!!」
ふたばちゃんは、見てくださいあれ!! と言って手を繋いでいない方の手で指を指しながら、俺に反応を求めながら歩く。
ふたばちゃんが、テンション上がっているのも無理はない。本当にこの商店街、色々なお店があるのだ。
食べ物はもちろんのこと、お土産で買ってこられたらなんとも嬉しいような小物やアクセサリーなども売ってるし、電化製品なんかも売ってる店がある。
もはやなんでも揃っているな。
「うわぁ……!! すごいです!! すごいです!!」
リトルプリンセスがお喜びのようだ。おふ、可愛すぎてちんこもげた。
「辰海さん!! あのコロッケ食べたいです!!」
「いらっしゃーい!! あったかーいコロッケはいかがですかー!?」
店先で元気なおばさんがコロッケを売っているようだ。
ふたばちゃんはグイグイ引っ張りながら、店先で売っている透明のケースに並べられた楕円形のコロッケを指差して俺におねだりをする。
「い、いけません……よ、夜ご飯が食べられなくなるでしょ?」
我ながらいい答えだ。お風呂の中で主婦ごっこしてた甲斐があったな。
「あっ……そうでした……お金がないんでしたね……」
や め ろ
リアル過ぎて気まずいだろうが。その通りだけど!! その通りだけど!!!
「お嬢ちゃん! お嬢ちゃん!!」
店先にいたおばさんが、明らかにこちらを見ながら手招きをしている。
ふたばちゃんは、俺の顔を見てから無言でおばさんの元へと走っていく。
すると……
「コロッケもらいましたですっ!!」
なん……だと……!?