俺氏、捨て子を拾いました
第5章 今日は何する? 息をする
「本当です!! このガラクタに書いてる通りに歩いたら本当に着きました!!」
ガヤガヤと賑わう商店街。今日って休みじゃないよな? 何ここ、幼稚園の頃に行った動物園並みにうるさいんだけど。
あと、ふたばさん? 俺のスマホをガラクタ扱いするのをそろそろやめてもらえませんかね?
「行きましょう!! 辰海さん!!」
「やっぱりやめない? 俺、もう吐きそうなんだけど」
「どういう育ち方してるんですか!?」
育ち方を気にされるとは思わなかったよ。小学生に。
「行きますよ!!」
ふたばちゃんは、呆れ顔で人混みの中に入ろうとする。
「ちょっと待った」
俺はふたばちゃんの小さな手を後ろから掴むと、驚いたようにこちらを振り返ってきた。
「はぐれたら危ないだろ……」
ぽけーっと俺を見たと思うと、すぐに満面の笑みを見せるふたばちゃん。
「はいっ! 危ないです!!」
そんな笑顔で反応することでもないでしょうに……
俺はふたばちゃんの手を離さないように、優しく握りながら商店街に入っていった。
「辰海さん、手濡れてますね!!」
「言わないで」