俺氏、捨て子を拾いました
第6章 金がない。
「仕方ない……奥の手を使うか……」
霙ちゃんは、何か決心したように小声を出す。
強盗でもするのかな……そんな僕の為に……
「あんた、私のバイト先で一緒に働きなさい」
「……え」
霙ちゃんの口から告げられた言葉はあまりにも無慈悲で……俺を殺す簡単な呪文に相違ない言葉であった。
「正気ですか……?」
「正気もなにも仕方ないじゃない」
「待ってください……む、無理ですって……パチンコで稼ぎますから……本もいっぱい読みますから……」
霙ちゃんは、おれの言葉を無視するようにスマホを触って……そして耳元に当てる。
おい……待て……待てよ……お前それをどこに繋げてる……嘘だよな? 嘘なんだよな?
「あ、店長? 今時間大丈夫?」
「いやぁあああああああああああああ!!!! やめてぇえええええええええ!! まじでぇええええええ!!! やぁああああああ!!!」
「トイレから出たら何事ですかこれは!! 辰海さんが高音スピーカーになってますです!!」