俺氏、捨て子を拾いました
第6章 金がない。
うつらうつらな状態の俺。現実と夢の狭間でゆりかごの中で眠る赤子の俺を思い出していた。
ああ……あの頃の俺は汚れを知らない純粋な心で哺乳瓶でミルクをてゅぱてゅぱ吸い付いていたというのに……何故俺はこんな……人間に……
そして夢の中の赤子の俺は母に抱きかかえられ……そのまま……
野球選手のようなフォームをした母に投げられる……!
俺の背中に突如はしる衝撃にうつらうつらしてた俺の意識は現実に巻き戻される。
痛すぎ!! 頭うった!! ふざけんな母ちゃん!! あんな子供の投げ方があるかよ!!
完全に目が覚醒状態の俺は辺りを見回す……よりも前に恐ろしいものが目に入る。
「……」
「……えっ? あっ……」
そう見たこともない部屋で目の前に見たこともない人が立っているのだ……黒人に近い濃さの肌……俺とは対照的な身体つきをした筋肉ムキムキの身体。腕を組んで仁王立ちする姿はこの世の終わりを感じざるを得ない。
ダルシムとザンギエフ合わせて2をかけた姿だと思う。
「……」
迫り来るダルザンギに俺は顔を歪ませながら後ろに退がろうとするが、後ろは壁。これ以上は退がれない。
つまり、オワタ。
もうダルザンギは、目の前。へたり込んでいる俺の目線に合うようにダルザンギも屈む。
近いwwwwwwww近いwwwwwwwwちょっwwwwwwwwやらwwwwwwwwカバに睨まれてるみたいwwwwwwww食べられそうwwwwwwww頭から丸呑みされそうwwwwwwwwカービィみたいに吸い込まれそうwwwwwwww
マジでキスする5秒前みたいな空気になってるからwwwwwwwwやだwwwwwwwwやだよwwwwwwwwまともなキスすら経験できないwwwwwwww俺は人生のカースト勢wwwwwwww
混乱してる俺を悟ってか……ダルザンギはゆっくりと口を開いた。