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俺氏、捨て子を拾いました

第7章 みつばじゃないよ、ふたばだよ




 外に出て私は悩みました。それはもう悩みました。鍵がない……という事はロックがかけられないということです。
 それは辰海さんの家に泥棒を誘い入れることと同じようなものなのです……



 それはまずいです……辰海さん、ただでさへビンボーなのに、更にビンボーになってしまってはもう死ぬしかないです……!



 私はふと外から辰海さんの家のドアを見ていました。


 すると私はあることに気付いてしまったのです。



 ドアの横に……窓があるということに。



「……! この手がありました……!!」



 私は鍵をかけていなかった窓を開けて、縁に手をかけ、よじ登り辰海さんの家の中を覗きました。
 よじ登って見た景色は、台所の風景……



「結構力使いますけど……これも私が外へ飛び出すための布石というやつです……」



 私は、台所の少し錆びた水道台に足を乗せて、難なく辰海さんの家に入ることができました。
 なんだか泥棒の気分です。



 でもこれで完璧です……



 私はこの家を……出ます!!



 一時的に……!!

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