SEXはしたいけど恋愛はしたくありません
第1章 ダメ女とダメ男
「…んっ……」
いつの間にか寝てしまったようだ。
慌ててスマホを確認する。
朝6時。
電車はもう動いてる。
彼女が帰ってくる前に急いで帰らないと。
ふと横を見ると、ヒロトが子供みたいな寝顔で寝てる。
「…………」
起こすのはやめて、なるべく静かに、自分だけ身支度をする。
ベッドはもちろん、床や洗面所。
髪の毛とか自分の痕跡が残っていないか、念入りにチェック。
修羅場とかめんどくさいことになったら絶対嫌だから。
「………ねね?」
普段より少し甘えたような声。
振り返るとヒロトが半分起きたような、まだ半分寝ているような。
「ごめん、起こしちゃった?私帰るから。」
「…まだ大丈夫だよ…」
「二度寝しちゃうとヤバイし。じゃあね!」
「ん……」
ヒロトはまた夢の中へ落ちていった。
私はもう一度忘れ物がないのを確認して、ヒロトの家を出た。
怪しまれないよう、ちゃんと鍵も閉めて。鍵は郵便受けに入れる。あとでヒロトがこっそり回収するはずだ。
「ん〜〜っ…」
まだ気だるい身体を起こしたくて、声を出してのびをした。
あまり効果はないけれど、早朝の空気は気持ちいい。
私は駅へ向かって歩いていった。