☆幻想窓☆
第9章 夕闇の踊り子
放課後の学校の運動場──
ボクはいつも、君に会う。
激しく、情熱的なダンスで踊る君に
踊る姿でさえも、愛おしい
ボクは君を遠くから眺めるだけ。
眺めるオンリーだ。
話しかける勇気すらなく──
近寄る勇気でさえもなく──
話しかけてくれるのを待つみたいな。
「帰らなきゃな…」
ボクはぽつりと、ひとりごとをこぼした。
だけど帰れない、みとれて動けない
縛られたかのように──
大地に糸が出てきそうなくらいに──
もう少しみていたい気持ちが生まれる
気持ちと、体が縛られている──
彼女のダンスには魅力があるのか
それとも…魔力か。
「あら?なにしてるの?」
振り向くと
遠くにいた君がいた。
「いや…なにも」
「ふふ、みとれてたのね」
見抜かれたかっ!
見過ぎた自分に後悔する……。
はずかしや。