箱……護
第1章 取調室の甘時
俺は、訳も解らず……
取り調べに付き合うはめになった――――――…
有馬は、騒ぐわけでも…謝るわけでもなく…
黙って…取調室の椅子に座っていた――――――…
しかし…
有馬と言う男は…
男だと言うのに…
綺麗な顔をしていた…
髪は黒く…サラサラと…キューティクルが生き生きとしていて…
いい香りまで漂わせていた…
甘く……ヨーロピアンな…バラの香り…
爽やかで……
犯罪とは無縁の…充実した勝ち組の―――…男…
手足も長く……
多分…男女共に…ほっとかない…
やばいくらい綺麗な男だ…
「――――…恵美は…?」
有馬は…自分が手錠で繋がれていようが…お構い無しに“恵美”と、言う女を気遣った―――――――…
「あぁ…遠藤 恵美(エンドウ・エミ)さんは―――――――…
病院に運ばれた――――…」
「恵美に…会わせてください…
彼女は…僕がいないと…生きていけません……
僕だって――――――…彼女がいないと……生きていけない…」
有馬は――――…大きな瞳から…
ダイヤの様に綺麗な涙をボロボロ流している…
「彼女に……二時間置きに…薬をあげないと……
彼女は……泣いてしまう……」