DAYS
第8章 一番 S×A
S side
「あ、翔ちゃん♡」
家に帰ると、リビングで録画してた番組を
見てる雅紀。
「また見てるの?」
苦笑しながら聞くと、
「だって、嬉しいんだもん。」
「…恥ずかしいんだけど。」
『世界一…相葉雅紀!』
テレビの画面から俺の声が聞こえてくる。
某テレビ番組でのクイズ。
世界一ってヒントが出た時に、思わず
『雅紀』って言ってしまった。
だって、本当のことだし。
そしたら、雅紀がその番組を
録画してたみたいで。
何度も何度も同じところを見てる。
もともと俺の出る番組は見てくれたり、
録画したくれたりしてるんだけど、
恥ずかしいんだって…。
「ふふふっ。翔ちゃん…。」
名前を呼ばれたと思ったら、
テレビの中の俺に話しかけてる雅紀。
テレビに釘付けになってるところを
見たら、なんか。
…何か、自分に負けてるみたいで複雑。
「雅紀。」
「んー?」
名前を呼んでも画面を見つめたままで。
さすがにちょっとイラってきちゃって。
「こっち見てよ。」
「もー!今いいところ。」
ぷちんってきた。
「そうだな。本物よりもテレビの中の
櫻井翔がいいんだもんな。」
自分でも分かるくらい、嫌味な言葉。
「違っ!」
雅紀がやっと俺の機嫌がよろしくない
ことに気付いたのか、慌てて立ち上がる。
でも、リモコンは離さないんだ。
「もういいよ。」
翔ちゃんって、俺の名前を呼ぶ声が
聞こえてきたけど、聞こえないフリをして
浴室へと向かった。
脱衣場のドアに鍵をかけて、
「はぁー…。」
とため息をついた。
「やっちゃった…。」
服を脱いで、風呂場に入り
コックを捻って熱めのお湯を出す。
「お風呂、用意してくれてたんだ…。」
湯船を見ると、俺の好きな
少しぬるめのお湯が張ってあって。
馬鹿だな、俺。
「自分に嫉妬してました。」
なんて言えないし…。
もう帰るよって連絡すれば、
待ってるね。ってすぐに返信がきて
こうやってお風呂の準備も、
雅紀の事だから、ご飯の準備まで
してくれてるんだと思う。
今頃、自分のことを
追い詰めてるだろな…。