DAYS
第8章 一番 S×A
「おはようございます。」
昨日、カーテンを閉めるのを忘れてて
朝日が眩しかったせいか、
いつもよりも早く目が覚めたら…
「え。え?え?」
「どうかされましたか?雅紀様。」
いや。つっ込むところだらけだわ。
俺よりも早く起きてることに、
まず驚かされて。
いつもベッドでグダグダ駄々をこねて、
「まさきぃ…。」
って甘えてくる翔ちゃん、可愛かったのに。
寝起きだけは、いつもの格好いい
翔ちゃんじゃなくって、甘えん坊なのに。
あぁー。その翔ちゃん、今日は見れないんだ。
じゃなくって!!
「なんでそんな格好してるの!?」
「格好とは?」
「いや!それ、執事が着てるやつ!」
そう!なんでモーニング着てるの!?
「それは、私が雅紀様の執事だからで
ございます。」
へ?へ?
「さぁ、雅紀様。朝食の準備がすでに
整っております。リビングの方へ。」
ベッドの近くで跪いて、すっと手を
伸ばしてきた。
何となく状況が呑み込めてきた。
その手に自分の手を重ねれば、
翔ちゃんはにこって笑って、
「では、参りましょうか。」
こんな翔ちゃん、朝から見てさ、
ドキドキしない訳がない。
びしっと決めた服装。
眼鏡越しに俺を見る優しい瞳。
格好いい…。
やっぱり似合うんだよなぁ、燕尾服。
俺の手を引いて、翔ちゃんが寝室を
出ようとしてるけど…
幸い今日はオフで。
翔ちゃんもオフで。
動かない俺を不思議に思ったのか、
「雅紀様?」
翔ちゃんが後ろを振り向いて
聞いてくる。
その翔ちゃんの顔が可愛くて。
心臓がきゅーって、鷲掴みにされた。
そんな翔ちゃん見ちゃったら。…ね?
首を傾げてたまま止まってる翔ちゃんの
腕をぐんっと引っ張ってベッドに投げ出す。
「え?雅紀様?」
「ごめんね?朝ごはん、せっかく作って
くれたのに。」
「へ?え?」
「朝ごはん、いらないや。」
「では、どういたしましょー…」
「翔ちゃん食べるからね。」
焦って抵抗してくる翔ちゃんを
振り切ってキスをする。
「翔。食べさせろ。」
「…仰せのままに。」
俺達の朝は長い。
-end-