DAYS
第9章 World of … A×N
N side
「ニーーノちゃーーーん♡」
収録後。
皆でありがとうございましたーって挨拶して
楽屋に帰ろっかって時。
俺の名前を馬鹿みたいに大きな声で
叫びながら、全力ダッシュで向かってくる
そいつが見えた。
もしもし?
ここ、テレビ局ですけど?
そんな事なんて微塵も気にしない様子で
俺のところまで一直線に来る。
「ふふ。ニノだぁ。」
息をはぁはぁ言わせながら、笑ってる。
「ここ、局の中だよ!?」
「だって…。」
叱られた子供みたいに、あからさまに
しゅんとして、大人しくなってる。
「寂しかったんだもん。」
小さな声で。俺にしか聞こえないような声で
ぽそって呟かれた言葉。
もちろん、俺もだよ?
だけどさ、場所を弁えて欲しかったな、うん。
「今から3連休でしょ?」
「あ、そーだった!!」
さっきまでの暗い顔はどこへやら、
ぱぁっと輝くような笑顔を浮かべてる。
「3連休、相葉さんの家に行くよって
ちゃんと言っといたのに。」
「3日間、一緒にいれるね♪」
俺の右手を握って、
ぶんぶん手を振り回してる。
そんな俺たちの様子を見てた
スタッフさんたちは、
「嵐の皆さんは、やっぱり仲いいですね!」
って、笑いながら見てるけど
見られてるこっちはヒヤヒヤしっぱなしで。
好きな人にこんなことされて、
平常心でいられる訳なんかなくて。
気を張っていないと、すぐに緩みそうな頬を
何とか気合でつりあげると、
「あははっ。そうなんです。
じゃあ、ありがとうございましたー!」
適当に話を流して挨拶をすると、
強引に腕を引いて楽屋へと入った。
「あ、ニノちゃん照れた?」
「うっさい。照れてないし。
だいたいあなた、ここ局なんだから!
ちゃんと場所を考えなさいよ。」
「夫婦喧嘩は家でやってよね。」
翔さんがこんな俺たちを見て、苦笑してる。
一人がけのソファーに座ると、
一緒になって一つの席に入ってこようと
してる雅紀。
久しぶりに触れた雅紀の体温はやっぱり
温かくて。
「せーまーいーー。」
「いーじゃんいーじゃん♪」
ほら、その笑顔。ずるいんだってば。