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DAYS

第9章  World of … A×N




「あ、ニノちゃん。機嫌治ったね。」


俺の方を見て、見透かしたように
優しい声で、柔らかい笑顔で聞いてくる。


何でもお見通しなんだよ、結局。


この人、見ていないようで周りを
よく見て気を遣ってる。
俺らにまでだよ?


…相ばかのくせに。


「なっ…!」
「分かりやすいなぁ、和は。」


ふふって可愛く笑ってる雅紀。


「ヤキモチ、妬いてたでしょ?」


可愛いなぁ、和は。
って言いながらケラケラ笑ってる。


そりゃヤキモチも妬くでしょうが。
あんなにベタベタしてたら…。



今日のゲストは岡田くんだった。


収録は順調に進んでた。
やっぱり先輩だし、結構可愛がって
もらってるし。

この番組にも何回か出てもらってるから
和やかな雰囲気で進んでた。


そこまでならよかった。よかったよ!?
だけど。
…あの距離は妬いちゃうよ。


俺って、自分でも分かるくらい
可愛くないやつだから。


滅多に甘えられないから、あんな距離で
絡んでるなんて、俺でさえ難しいような
距離だったのに。

その距離を、簡単に埋めちゃった岡田くん。
寂しかったし、妬いた。



あとの収録も気分は下がって。
しゅんってなってたら、今この状況。


「…あの距離、俺だけだからね。」
「うん。ごめんね?」


今度は雅紀がしゅんってなってる。
犬みたいなやつ。


「寂しかった…。」
「うん。」


自分からぎゅっと抱き付けば、


「今日の和、甘えたさんだね。」


って、俺の何倍もの愛でハグをしてくれる。


雅紀の落ち着く匂いがして、
体の力が抜けて、こてんと肩に
頭をこてんとつけた。


雅紀が、俺の頭を撫でながら

「和だけだよ。」


何度も何度も囁いてくれる。


その言葉が、声で、
嫉妬で冷たくなっていた心が
じんわりと温かくなっていく。


「…俺の雅紀。」
「うん。ふふ。」


嬉しそうな顔をしてる。


嬉しいのは、雅紀だけじゃなくて。
幸せなのは、俺だけじゃなくて。

その度に、大好きだって気づく。


「熱々だね(笑)」
「もう止められないよ。」


三人が呆れたような目でみてるけど、
全く気にならない。二人だけの世界。

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