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DAYS

第10章 ためらいは捨てて S×N




アトラクションに乗ったり、
二人で買い食いをしたり。

堂々と手を繋いで歩いたって、誰にも
気づかれることなんてなかった。


人生で初めて、女装に感謝したかも。




「ねぇ、りーちゃん。(和也がこうなった)。」
「んー?」


アトラクションに並んでる途中。


名前を呼ばれて、顔を上げると


「んっ!?んぅ。」
「…はっ。ふふ。顔が真っ赤だね。」
「だっ…!」


あまりの驚きに声が出なくて、
口をぱくぱくすることしか出来ない。

こんなに人がいるところで
キスするの!?


「こんなとこで、そんなのする!?」
「だって、夢の国だから。」


だから、それ滅茶苦茶だから。


「もー…。」
「スリルがあっていいでしょ?」


いたずらを成功させた子供みたいな笑顔で
俺の方を見てる。


ずるい。
普段の格好よくて、バリバリ働いてる
イメージから一転。


格好よくて、引っ張っていってくれるところは
変わってない。
だけど、それだけじゃない。
『ありのままの翔』がたくさん見れるの。


こういうお茶目なところも、
もう本当に好き。

こんな翔を見れるのって、俺だけなんだ。



「ほら、前進んだから歩いて。」
「照れたりーちゃん、可愛いよ。」


いつもよりも、甘々オーラ全開だし。
なんか普段にも増して、優しいし。





あたりもすっかり暗くなってきて、
かなり冷え込んできてる。


「さむ…っ。」
「大丈夫?」


今度は翔が寒そう。


「上、貸そっか?」
「それじゃ、リーちゃんが寒いじゃん。」
「でも、それじゃあ風邪引いちゃう。」
「じゃあー」


俺の後ろに回ったかと思うと、
後ろからぎゅっと翔の腕の中に引き寄せられる。


「これがいいな。」
「え、へ!?」
「あっかけー…。」
「ちょ、翔。」
「暖めてよ、りーちゃん。」


耳元でいうなんて、反則でしょ。
嫌だ、なんて言えなくなっちゃうよ。

…言う気もないけどね。


回された翔の腕に、俺の手を重ねる。



誰よりも、大好きな人の
何よりも大切な、俺だけの場所。


すっぽり包まれた暖かさは、
じーんと心まで届く。


翔も、同じ気持ちになってくれてる?

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