
DAYS
第10章 ためらいは捨てて S×N
ぱっと目を開けると、翔の顔。
腕の中に俺を収めて、大事そうに
抱えこんでる。
その寝顔はとっても幸せそうだったから、
俺も幸せだな。
「疲れてたんだろうなぁ。
朝ご飯、作らなきゃ。」
時刻を見れば、朝の7時前。
昨日も寝たのが遅かったから、
相当疲れてると思う。
それまでも仕事で忙しかっただろうに、
ディズニーランドまで連れて行ってくれた。
そのお礼には到底及ばないけど、
せめて朝ご飯くらいはね。
翔を起こさないように腕から抜け出すと、
「寒っ。」
思ってたより寒くて、思わず身震いした。
ぽーんと無造作に置かれてる
翔のパーカーを手に取って羽織る。
少しだけ大きいのが落ち着く。
パーカーからは翔の匂いがして、
抱きしめられてるみたいでほっとした。
「これでいいかな。」
何とか無事に、ご飯を作り終える。
ご飯と、お味噌汁と、卵焼き。
ほうれん草のおひたし。
買い物にも行く暇が無かったから、
貧祖な感じになっちゃったけど。
「翔ー。」
寝室に入ると、
「あ、まだ寝てる。」
布団が少し上下に動いてるのが見える。
「しょーーう。」
顔を覗き込もうとしたら、
布団の中から手が伸びてきて
「わ!え、翔!?」
「おはよう。」
前髪をちょんって跳ねさせてる。
「起きてたの?」
「んーん。今起きた。」
腕に俺を抱き寄せて、
すりすりと擦り寄ってくる。
「翔、可愛い。」
「っ。」
顔を真っ赤にしてる。
自覚、なかったんだね。
「もう起きるぞ。」
翔が照れ隠しに、俺の頭をくしゃくしゃして
勢いよく起き上がってる。
『今日は低気圧の影響により、
今週一番の冷え込みになるでしょう。』
テレビのニュース。
アナウンサーが情報を伝えてくれてる。
「だってさ。」
「えー、寒いの嫌だなぁ。」
朝ご飯を食べて、ソファーに二人。
寒いって言うと、
「ほら、もっとこっち。」
って。強引に俺を引き寄せる。
触れてるところ、全部が熱い。
熱いけどさぁ。
「心臓持たないからやだ。」
-end-
