DAYS
第12章 Happy Birthday♡♡
N side
「起きて。智。さーとーしー。
ねぇー、さーとーしーー!!!」
リビングで、ぐーすか寝てるおじさん。
我がもの顔だけど、
ここ。俺の家だから。
「もう12時になっちゃうから。
早く!」
「んー…。あと5分…。」
「ダメだって!あと5分寝ちゃったら
12時になっちゃうから!」
「俺は寝るんだぁぁー…。」
さっきよりも、ぎゅっと強く
クッションを抱きしめて寝てる。
そんなこと言ったって…。
たぶん、この人は気付いてない。
あと3分もすれば、自分の誕生日が
来ることを。
ほんっとに自分のことには
無頓着だから、智は。
お祝いしたいじゃん?そりゃー。
だって、その…。
恋人、なんだし。
「さーーーとし!」
ぼふっと、智の上に飛び乗ると
「…ぐふっ。」
慌てて飛び起きてる。
「おはよう。」
「和也…。」
背筋が凍りそうなくらいの低い声。
恐る恐る智の顔を見ると、
「ひぃっ。」
「和也?」
「…怒ってる?」
不機嫌なのを隠すつもりなど
さらさら無いのか、凄い顔をして
俺を睨んでる。
「…別に。」
怒ってるじゃん。
分かってはいたけど、
そんな返事をされると悲しい。
本当に分かってないんだもんね。
「どうしても起きて欲しかったの。」
「だからって、あんな起こし方ー…」
「ごめんってば!」
危ない。
智が説教モードに入っちゃう。
それだけは阻止しないと…。
そう思って、焦っていたら
思ったよりもきつい言い方になってた。
「なんでそんな言い方すんの?」
「あ…。」
気付いた時には、時すでに遅しってやつ。
「…もういい。」
「智っ。」
「触るなっ!」
智の腕を掴もうと、伸ばした手を
思いっきり振り払われた。
こんなことは初めてで。
いつも。
どんなことがあっても、
あの手の温もりだけはあったのに。
「どうしよ…。」
誕生日、祝いたかっただけなのに。
やっぱり強引過ぎちゃった?
時刻は12時を回ってて。
「おめでとう、智。」
1番に言おうって、決めてたのに。
智には聞こえない。