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DAYS

第12章 Happy Birthday♡♡



O side


「何なんだよ、もう。」


和也が、いつもと違ってた。

いつもは、俺が寝てても
起こさないで見守っててくれるか、

優しく、

「智。」
って、俺の名前を呼んでくれてた。



目を開いた時。

愛おしい人の存在を見つけた時ほど、
幸せなものなんてない。

分かる?この気持ち。


真っ暗な世界から、目を開けると
入ってくる眩い無数の光。

その先に、大好きな人。


ほら、幸せでしょ?



なのに。


「起きて。智。さーとーしー。

ねぇー、さーとーしーー!!!」


しつこいくらいに、何度も俺の名前を
呼んで、俺の肩を揺さぶってる。


「さーーとしー!」


起きないと、首の骨が折れて
死んじゃうんじゃないかと思うくらい、
強く肩を揺さぶられて。


起きようかと思って、目を開けると
俺に飛び込んで来ようとする和の姿が
見えて、もう嫌な予感しかしない。



「ぐふっ。」


いくら軽いって言ったって、重いから。

いつもなら優しくぎゅって抱きしめる
のに・・・。


今日は、この大切な重さを体で
受け止められるほど余裕がない。

眠いんだってば!


さすがの俺も、かちんっときた。

「・・・怒ってる?」


怒ってるよ。
でも、そんなの面と向かって言えなくて。


「どうしても起きて欲しくて。」


だからって、そこまでする?



「だからって、あんな起こし方・・・ー」
「ごめんってば!」


・・・は?

和の必死な顔。

普段なら、
「うん。俺もごめん。」って言えてた。

だけど、そんな余裕がなくて。


「・・・もういい。」
「智っ。」


慌てた和が、俺を止めようと
手を伸ばしてきてる。

愛おしい温もりが近くにある。

何よりも大切なものだったのに。
何よりも愛おしかったのに。


俺は苛ついてて。


「触るな!」


自分でも分かるくらい、
強くきつい声が聞こえた。


しまった、と思って、和の顔を見ると



・・・泣いてるの?


その瞳を見ると、いたたまれなくなって。





「逃げてきちゃったなぁ・・・。」


馬鹿だ、俺は。



「でも、和も何なんだよ・・・。」

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