
DAYS
第12章 Happy Birthday♡♡
「はい、部屋に着いたよ。」
「んー。」
フラフラになって、1人で動けない
智さんを支えて、部屋に入る。
「はい。ほら、ちゃんと座って。」
「んー。」
ソファーに座らせようとしても、
力が入らないのかずり落ちてくる。
「もー…。
…っしょっと。」
だらーんと力の抜けた智さんを
何とかベッドまで運んだ。
「水飲む?」
「んー…。」
ごろんと横になったっきり
動こうとしない智さん。
「寝るの?」
「んー…。」
もう寝ちゃっていいよ?
確かに欲しいって言ったけど。
どうしても今日がいいって
そう思ってたけど。
今までずっと我慢してたんだ。
今日1日くらいどうってことない。
動かなくなってる智さんに、
「寝ていいよ。」
そう声をかけたら
「やだ。」
はっきりと言い切ってる。
さっきまでは、あんな危ない
呂律だったのに。
「眠たいでしょ?」
「眠たい。」
「寝たいでしょ?」
「寝たい。」
「じゃあなんでー」
「それよりもね。
翔が欲しい。」
俺を見る目が、違ってた。
吸い込まれるような澄んだ瞳。
触れれば壊れてしまいそうな儚さと、
どこまでも堕ちていくような妖艶さ。
こんなのに、勝てるわけない。
「いいの?」
「うん。」
「止めらんないよ?」
「止めないで。」
ベッドにゆっくりと押し倒した。
その時の表情は、最高に艶っぽかった。
「ねぇ、翔。」
「ん?」
「俺、幸せだよ。」
情事の後、甘い雰囲気が漂よってる。
体には、少しの気だるさ。
それが何よりも心地よくて。
そんな余韻に浸っていたとき。
智のその言葉。
「俺って、世界で2番目の
幸せもんだね。」
「え?1番じゃないの?」
思わず体をがばっと起こした。
「だって。
俺が、翔を世界で1番の幸せ者に
するから。
俺は2番でいいの。」
何だ、その可愛い理由は。
計算じゃない。
ありのままの智。
智の、この1年が幸せで
満ち溢れますように。
願わくば。
誰よりも傍にいられますように。
-All end-
