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DAYS

第12章 Happy Birthday♡♡



S side


「好き。」


危うく口に含んでたワインを
吹き出しそうになった。


「え…。」
「好き。」


2度同じ言葉を重ねられて、
それが夢じゃないって実感させる。


突然のことで頭が混乱してる。


心のどこかで、こうなるんじゃないかって
予想してた。望んでた。


だけど、ずっと逃げてきた。

智さんと、向き合うことも。
自分の気持ちを知ることも。


「智さん。」


名前を呼べば、体を強ばらせてる。


「俺も。」
「…え?」
「俺も好きだよ。」



目尻が少し赤くなってて、
瞳には大粒の涙が光ってる。


その表情は、今まで見てきた
どの智さんよりも綺麗で。



「本当に?」
「うん。」
「好き?」
「好きだよ。」


1つひとつ、確かめるような口調に
優しく答えてあげる。


すると、智さんが最高級に甘い笑顔で


「嬉しい。」


理性がぶっ飛ぶかと思った。


「キスしたい。」
「へ!?」
「キス。」
「いや、だってここレストラン。」
「だから、早く帰ろう。」


強引だってのは分かってる。

だけど、欲しい。
今日、欲しいんだ。


「ほら。早く食べちゃって。」
「急かさないでよ…。」


ボロボロ涙を零しながら、
口いっぱいに頬張ってる。


「しょっぱい…。」
「早く泣き止んで。ほらほら。」
「翔ちゃん、無茶苦茶だよ。」
「うっ…。」


それはごめんなさい。

やれ早く食えや、
やれ早く泣きやめや。

無茶な要求ばかりしてるのは分かってる。

だけど、


智さんが欲しいって、言おうとした時



「俺も、翔ちゃんが欲しいから
いいよ。
早く食べて帰るから。」
「え!?」


今度は俺が驚かされる番だった。


挙句の果には、


「もー、翔ちゃん食べるの遅い。
ほら、早くしないと置いてくよ。」


って、さっきの俺より無茶苦茶に
急かしてくる。



「うー…。」

食べ終わったのはいいけど、
動けなくなっちゃってる智さん。


「大丈夫?」
「んー…。」
「ちょっと待ってて。」


家に帰るのは諦めて、
ホテルに泊まろう。



俺の理性、たぶん持たないから。

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