DAYS
第14章 sound O×S
S side
目覚めのいい朝。
天気のいい朝。
朝の日差しが、カーテンの隙間から
少しだけ漏れてる。
少しだけ冷え込んだリビングを通って、
キッチンまで足を運ぶ。
昨日の晩から用意しておいた
いりこの出汁を鍋に移しかえる。
温まるまでの間に、
ネギを切る。
トントンという優しい音が、
部屋の中全体を柔らかく包んでる。
「今日は豆腐かなぁ。」
冷蔵庫にあるもので、
ぱぱっと何でも出来ちゃうからね。
ふふ。
俺って、よく出来たお嫁さんだ。
「ふわぁぁ…。おはよ、翔。」
「おはよう、智くん。」
大きなあくびをしながら、
リビングに入ってくる智くん。
頭をぽりぽりと掻きながら、
お腹の辺りも掻いてる。
時々ちらっと覗く腹筋に
思わず胸がきゅんってなる。
「先にシャワー、行ってきたら?」
「んー。後でいいや。」
「え、そうなの?」
そんなに寝癖つけてるのに、
大丈夫なの?
先に入っちゃえばいいのに。
「うん。だって、料理してる
翔、見てたい。」
カウンター越しに目が合う。
さっきまで完全に寝起きモード
だったとに、ずるい。
どきっとしちゃうじゃん。
「んふ。翔。」
「へ?」
「俺ばっかり見てたら。」
ほら。って、智くんが指さした先。
「あー!鍋。」
バタバタしてる俺と、
それを優しく見てる智くん。
新婚さんだ♡
「いたたきます。」
向かい合って机に座って、
味噌汁をすすってる。
「お、上手い。」
「でしょ?」
「いいお嫁さんだな、翔は。」
味噌汁を片手に、ふふって笑ってる。
それに見惚れてたら
「ふぇ?」
口に柔らかい感触。
「え?んんぅ。」
「…っ。はっ。
欲しくなった。」
「え?今?」
「ずっとだよ。キッチンに立ってる時
から我慢してたんだから。
ちょっと付き合え。」
「え。わぁぁぁ!」
「…ょう。翔。」
「…んん。…え?」
目が覚めてみれば、ベッドの上。
目の前にはドアップの智くん。
「大丈夫?何か、叫んでたけど。」
智くんが、にやって笑った。