DAYS
第15章 SUPER LOVE SONG A×S
S side
俺、櫻井翔。
最近、悩み事が出来た。
いや、普通だろ、って思うでしょ?
でもこれが意外に大変で。
俺には恋人がいる。
「しょうちゃーーーーーん。」
凄い勢いで手をぶんぶん振りながら、
全力ダッシュで俺の方に来てる。
「雅紀。撮影、終わったの?」
俺は先に終わってて、
もう帰ろうかと楽屋を出たところだった。
「うん。」
「もっとかかるんじゃなかったの?」
本当なら、まだ終わってなくても
おかしくない。
今日は一緒に帰るのは難しいだろうな、
って覚悟してたくらいだから。
「ん?頑張って、めっちゃ巻いたよ。」
腕をくるくる回りながら、
ドヤ顔をして言ってる。
そんなに嬉しそうな顔してたら、
俺まで釣られて笑っちゃって
「そんなに頑張ったの?(笑)」
「そりゃー、頑張るよ。」
「何か用事でもあるの?」
「翔ちゃんと一緒に帰りたいじゃん。」
太陽みたいな優しい笑顔が
俺だけに向けられてる。
撮影用じゃない。
メンバーに見せる顔でもない。
俺専用の笑顔。
そんな顔を見せられる度に、
『あぁ、好きだなぁ。』って
実感する。
プライベートも、仕事も
充実してるかな。
それもこれも、雅紀のお陰。
なんだけど。…ね。
「じゃあ、一緒に帰ろっか。」
「うん!すぐに用意するから、
待っててね!」
そう言い残して、凄まじい勢いで
楽屋の中へと消えていった。
「そんなに急がなくても、大丈夫だよ。」
去っていった背中に一応声をかけて、
楽屋の外で待ってた。
中には入らない。
だって、雅紀が着替えしてるんだもん。
付き合い初めて、もう3ヶ月。
それなのに、キスはおろか
手を繋いだことすらない俺たち。
中学生の恋愛かよ、って話だけど。
一緒にいられるだけでいい、って言うのが
嘘ではない。だけど…。
だから、まぁ…。
…溜るもんも結構溜まってる訳で。
今雅紀の裸なんて見たら、
色々とやばい気がするから。
だから、このドアは絶対に開けない。
俺の理性は、こんなに頑丈なもんじゃない。