DAYS
第17章 All I Want For Birthday Is M×A
この日は、幸運なことにも
個人の撮影だけだった。
終われば直行で帰ろう。
「お疲れ様でした。
今日は迷惑をかけてすみません。」
スタッフさんに頭を下げてから、
スタジオを出る。
長い廊下の途中、
前から歩いてくるのは潤。
俺はさらに歩く速度を上げて、
ひたすら下を向いて歩いた。
「雅紀。」
潤の声が聞こえたけど、
止まらなかった。
止まれなかった。
ごめん、って心で何度も謝りながら
駆け足で楽屋まで戻った。
楽屋に戻れば、二ノの姿。
「お疲れ様。」
「うん。ありがと。」
二ノとも何だか気まずい。
分かってる。
結局は、俺の気持ち次第なんだよ。
嫉妬してるんだ、ニノに。
一緒に来たの?って聞くから。
だから、たまたまだよ、って
笑って返してよ。
「今日、潤と一緒に来たの?」
「あー。うん。」
…何で?
その言葉は言えなかった。
聞くのが怖かった。
「昨日ねー」
「聞きたくないっ!
…ごめん。
帰るね。」
「あ、相葉さん!」
何か言いたそうな二ノを残して、
楽屋を飛び出した。
俺、最低だ。
でも、自分でも分からなくて。
マネージャーの車は
もう出口のところに来てた。
「今日もあそこに?」
「うーん。いや、
今日は俺のマンションにお願い。」
「はい。」
珍しいですね、って
遠慮気味に言ってる。
マネージャーにまで
変な気を遣わせてる。
もう何も考えたくなくて、
ひたすら窓の外を見てた。
空はどんよりしていて、
今にも雨が降りそうで。
それが自分と重なって見えて、
余計に悲しくなった。
家に着いても、
何にもやる気が出ない。
「お腹、空いた。」
そういえば、昨日から何も食べてない。
冷蔵庫を開けても、何にも入ってない。
ずーーーっとあのマンションにいたから。
元々住んでたこっちのマンションに
帰ってきたのは、本当に久しぶりで。
1年前に、喧嘩した時ぶり?
結局この日も何もする気が起きなくて。
着の身着のまま、ソファーに
全部を預けた。