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DAYS

第20章 ショートストーリー From A×S





「ただいまぁー…。」


恐る恐る玄関の扉を開けるけど、
返事は帰ってこない。

部屋はしーんと静まり返ってる。




「雅紀…?」


リビングのソファーの上で、
小さく丸まってる雅紀。

声をかければ、びくっと体を震わせて。


「雅紀、ごめんな?」
「謝んないでよ。」
「え?」
「何が悪いか、分かってないんでしょ?」


その通りの事を言われて、
思わず言葉が詰まる。


「図星なんだ…。」
「あっ…。

ごめん。俺、分かんなくて。

何がダメだったか、教えてくれる?」
「…。」
「雅紀。」
「ニラ…。」
「へ?」


ぽつりと零した言葉。


…ニラ?


「ニラ?」
「…ニラ。」
「…ごめん。分かんないんだけど…。」
「しょーちゃんのバカぁ!」


わぁっと泣き出す雅紀。

子供みたいに泣きじゃくる背中を
ただただ摩って、


「落ち着いて。ね?」
「ニラぁ…。」
「ニラがどうしたの?」
「…何で?」
「うん?」


背中を摩る、俺の手を払い除ける。


その手が痛い。

雅紀の涙を溜めた視線が痛い。

さっきから激しく鳴ってる
心臓が痛い。

全部が悪い方へと向かってる気がして。


雅紀の黙ってる間が怖かった。






「何で、ニラとネギ間違えるの?」
「…。


…はい?」
「だから!
何でニラとネギ間違えるのって!」
「え、いや、えっとー…。
そんな事?」
「そんな事ってなに!?」


雅紀の凄い剣幕に押されて、
反射的に謝ったけど…。


「何で間違えたの!?
いっつも俺と餃子作ってるのに!」



あ…。そういうこと?



「俺との時間なんて、どーでも
よかったんじゃん!」
「違うよ!

ただ…。餃子作ってる時の雅紀、
格好いいから…。

…見惚れてて、その、覚えてなー
わっ。」



言葉を言い終わる前に、
抱きつかれて、そのまま床に押し倒され


って!


「何してんの!?」
「だって、翔ちゃん可愛いから。」



ダメ?って首を傾げてる。


「いや、あのー…。」
「いっただっきまーす♡」
「わぁ!やだぁぁーー!」



-end-

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