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DAYS

第21章 愛を込めて花束を S×N





S side



涙と一緒に零れてくるのは、

和の心。


バカだ、俺。

「未来」の事を
ちゃんと言ってこなかった。
話してこなかった。


俺の気持ちは、ずっとずっと。

あの時から決まってるのに。



「和。」


名前を呼べば、
濡れた瞳が俺を見る。



「全部あげるから。

俺も。
俺の未来も。
俺の人生も全部。


だから…結婚しよう。」



ベッドサイドの引き出しに
ずっと入れたままだったソレを出す。


箱を開ければ、


「翔、これっ。」
「うん。結婚指輪。」


付き合ってすぐに買ったものだった。


本当は、買ってすぐに渡そうと思ってた。
だけど、どうしても踏み出せなかった。



「いつ渡そう、って悩んでるうちに
だいぶ時間が経って…。

だけど、そろそろちゃんと
言わなきゃって分かってた。
分かってたんだけど…。」
「翔ー…。」


俺の胸に真っ直ぐに飛び込んでくる和を、
ただぎゅっと抱きしめた。


昨日と同じ距離だけど、
こんなに違うんだな。

心が触れ合ってるような、暖かいハグ。


「ずっと一緒にいてくれる…?」
「…はっきり言ってよ。」
「え?」
「ごめ、俺っ。」


ぱっと俺から離れると、
布団をがばっと頭まで被ってしまった。


…はっきり?

一緒にいよう、って以上に
はっきりした言葉?


あ。…そうか。

俺はいつも何かが足りない。
きっとこれなんだよな。



「和。」


名前を呼んだって起きてくれない
和の体を、強引に抱き起こす。


涙をぐっと我慢するように
唇をきつく噛んだまま。

それでも俺を見てくれない。



違う。
和がワガママなんじゃない。

俺が足りないだけ。



和の膝の裏に腕を滑り込ませると、


「…ぅわっ。翔!?」


和の体を、自分の顔よりも上に
持ち上げた。

華奢な体は簡単に上がる。


「やっとこっち見てくれた…。」
「ぁ…。」
「和。はっきり言わなくてごめん。


これからも一緒にいろ。
死ぬまで離れるな。」
「っ。しょうーっ。」
「返事は?」

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