DAYS
第21章 愛を込めて花束を S×N
不安とか、悩みとか。
そんな事を言ってたって、
キリがない。
初めから無理だって泣くのは簡単。
俺はずっとそうだった。
戦う事が出来なかった。
守るべき確かなものを、見失ってた。
他の人の幸せが羨ましくて、
目の前の幸せに気が付かなかった。
こんなに大きな幸せがあったのにね。
陽が昇ったあとも、
俺たちは動けずにいた。
感動とか、そんな安っぽい言葉じゃ
全然足りない。
心の底から、出てくるこの感情。
それが何だか翔への想いにも似てて。
「翔。」
「和。」
名前を呼び合うだけでも、
幸せなんだよ。
翔は知ってる?
翔も同じ気持ちでいてくれてる?
愛してる以上の言葉が欲しい。
こんなに翔の事が好きなのに。
伝わらないのがもどかしい。
だから、代わりに繋いだ手に
ぎゅっと力を込めた。
そしたら、翔も
「ふふ、痛いよ。」
なんて言いながら、
ぎゅっと握り返してくれた。
「帰りたくないな…。」
「凄く綺麗なところだもんね。」
「もうここに住みたい。」
「またくればいいよ。ね?」
にこって笑って俺を優しく見る翔は、
世界で誰よりも愛があった。
俺だけに向けられた愛。
俺だけだよ?
羨ましいでしょ?
あげないよ。俺の旦那さん。
…何だか照れる。
「さ、そろそろ朝ご飯だよ。」
「うん。戻ろっか。」
「行こう、ハニー。」
流暢なその言葉に
顔がぼっと熱くなった。
…格好よすぎるでしょ?
ハニーって言葉が擽ったくて。
でも嬉しくって。
だけどやっぱり恥ずかしいから、
照れ隠しに
「ダーリン♡」
って、最高級の笑顔を添えて言ったら
「ゃばっ。」
翔がその場にしゃがみこんでしまった。
「え、翔?体調悪いの?」
「違う違う。」
「大丈夫?」
「うん。ちょっと和が可愛すぎただけ。」
へ?
俺が?
「恥ずかしいから!」
「うんうん。
ほら行こう。」
赤面して、手を繋いでる2人。
傍から見れば、変なのかもしれないけど。
これが俺たちの愛。
永遠の愛。
-end-