DAYS
第21章 愛を込めて花束を S×N
いつも、起きた時に
不快感が残ってる事なんてなかった。
どんなに激しい情事のあとだって、
残っているのは甘い余韻。
「んん…っ。」
隣ですやすやと眠る翔を
起こさないように、ゆっくりと体を
起こして伸びをする。
まだ薄暗い外。
日の出前なのか、辺りは
静まり返ってる。
見える波も穏やかで、
そよそよ吹く風が木を揺らしてる。
しばらくすると、
「うわぁ…。」
あたりが少しずつ、
太陽の光に包まれてく。
その光景に、思わず見惚れて。
これをまだ隣で寝てる最愛の人と
分かち合いたくて、
「翔!ねぇ、翔起きて!」
「…んー…。」
「はーやくっ!」
体を揺すぶっていると、
もぞもぞと動き出す和の体。
眠たそうに、目を擦りながら
「どーしたの…?」
寝起きで少し低めの声。
翔の朝イチの声は、よく響く。
好きだよ、それ。
「外行こう。」
「え?今?」
「当たり前でしょ!」
「え!わ、ちょっ!」
寝癖をぴょんっとつけたままの翔。
普段はあんなにしっかりしてる
イメージがあるのに、
可愛いよね。
俺の旦那さんだからね。
2人で裸足のまま、
外に飛び出した。
朝のフレッシュな空気を
胸いっぱいに吸い込む。
東京では絶対に味わえない。
「ねぇ。和どうしたの?」
「見て。」
「見てってー…わ…っ。」
優しい、柔らかい光が
地上にあるもの全てを輝かせてく。
海がキラキラと反射して眩しい。
完全に太陽が昇りきるまで
波がくるぎりぎりのビーチの
砂浜に座ってた。
俺の右側には翔。
繋がれてるままの右手。
世間的に保証されない俺たちの関係。
結婚とか、目に見える「確か」な
ものがない俺たちの関係。
だけど、俺たちの関係は
世界の誰よりも
深くて、
甘くて、
強くて、
愛に溢れてる。
それが今なら分かる気がするから。
繋がれた右手には、翔の左手。
その手の薬指には、指輪。
自分の左手手を見れば、
薬指に指輪。
指輪の感触にはまだ慣れない。
だけど、この感覚は何よりも愛おしい。