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DAYS

第3章 心の中と頭の中 N×O




ー目が覚めると、いつもみたいに
腕の中に智がー…


「あれ、いない。」

俺より先にあの人が起きるなんて
ほとんどなくて。

体をゆっくりと起こすけど、
やっぱりベッドに智の姿はなくて。


「もう起きてるのかな?」

眠い目を擦りながらリビングの方へと
向かう。


「おはよー…。って、あれ?」


え、ここにもいない。
不安になって、
お風呂、キッチン、ベランダを見ても
誰も居なくて。

よく見ると、スマホも、カバンもない。
走って玄関に向かうと、

「靴もないじゃん…。」

そのまま玄関に座り込む。

一気に不安が押し寄せる。


俺のこと、嫌いになったんじゃないか。
俺から離れていくんじゃないか。

時間が経てばたつほど
ネガティブな考えに頭が占拠されてて。

あ、そうか。電話。

電話を取りに行こうと、立ち上がった
その時、

「ただいまー、あ、和。おはよ。」

って、すごい大荷物の智が立ってた。

「なんでこんな所に座ってるの?」
「なんでって…。ってか、なに、
その大荷物は。」
「何って。俺の身の回りの物。」
「へ?」
「なに驚いてんの。俺、住むって言った
じゃん。もー、やだなぁ、和。」

ケラケラと笑って、
リビングのほうへと歩いていく。


「もー…。何なんだよ。」
「え?

…あ、もしかして心配してくれてたの?」

いつもみたいなふにゃってした笑顔で
聞いてくる。

「あー、もー!とりあえず、
荷物中に入れて。」
「はぁーい。」

優しい声が部屋中に明るく響く。


智がいるだけで、気持ちがこんなに
軽くなって、
明るくなって、
幸せになる。

幸せって、このことを言うんだって
自信を持って言えるよ。
不安でも、智はいつも全身で俺への
愛を伝えてくれるから。

もう迷わない。
頭の中も、心の中も。
幸せにするって、決めたから。



「ふつつか者ですが、よろしくね。」

改まって正座してる智が愛おしくて。

ぎゅーーって、強く抱きしめる。



今日、愛が芽吹いた日。

世界一可愛いお嫁をもらった日。


世界一の幸せ者になった日。



-end-

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