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DAYS

第4章 In Love With Love M×A



「好きだからだよ。」
「え?」

翔さんの呟きは、はっきりとは
俺の耳に入ってこなくて。

もう一度聞き返したけど、
鼻をむぎゅっとされて、


「そんなことより。

こんなとこで、飲んでる場合じゃ
なかったんじゃなかったっけ?」


そうだった。
雅紀のとこに行かないと。

早く会って、声が聞きたい。
ぎゅってしたい。温かさを感じたい。

「潤。」

って、いつもみたいな
眩しい笑顔で、俺の名前を呼んで欲しいから。


「ごめん。俺、帰る!
あ、その前に電話しないとー」
「そんなこともあろうかと。」

っていって、個室のドアのほうを向いて、

「入っておいで。」

誰かに声をかけてる翔さん。

え、誰?

入ってくるシルエットを見ると。

「雅紀!」
「潤…。」


しゅんとした、泣きそうな顔をしてる。


「ちなみに、ずっと聞いてたから。」
「え!?」

翔さんの補足にただただ驚愕する。


「ごめんね、潤。…立ち聞きなんて、
最低だよね。」

今にも消えてしまいそうな、弱々しい声で
喋る雅紀。

「そんな訳ないだろ。」

ドアの前で俯いてる雅紀を、
正面からぎゅっと抱きしめる。


「…あの。」

翔さんの声が聞こえてきて、思い出す。

「あー。あ、はは。」
「じゃ、邪魔者は退散するよ。
仲直り、出来てよかったね。じゃ、
また明後日ね。」


そういって爽やかな雰囲気を残して
帰っていく翔さん。

その時にサラッと伝票を持って出ていく
ところ、やっぱり大人だなって思う。


「ごめんね。」

雅紀が俺の目をおどおどした瞳で
覗き込んでくる。


「俺、変な誤解しちゃって…。迷惑かけて
本当にごめんね。」


必死に謝る雅紀の姿に心が痛む。

「もう謝らないで。

俺も、あの時引き止めてあげられなくて
ごめんな。
俺、変なとこにプライドがあって…。」
「ううん。潤は悪くないから。」
「いいや、俺が悪い。雅紀じゃない。」

なんてやりとりをしてたら、可笑しくなってきて
二人で笑ってしまう。


「とりあえず…帰ろっか。」

こくんと頷く雅紀と店を出て、
俺の家へと車を走らせた。

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