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DAYS

第4章 In Love With Love M×A




「それで今に至るって訳です。」

一通りの説明を終えると、ふぅーっと息を吐く。

4分の1ほど残ってたグラスのビールを
一気に喉に流し込む。


「え…。しょうもな。」

翔さんが呆れた、って言いたげな顔をしてる。

「もっと深刻な問題だと思って、
めっちゃ覚悟してたのに。え、何。


ただのバカップルの悩みじゃん。」


やれやれ、って声が聞こえてきそうな
勢いで、ため息をついてる。


「変な意地、張っちゃうからじゃん。」
「いや、そーなんだけど。
なんか負けたくなくて…。」
「変なとこで負けず嫌いを出すな。」


翔さんが二杯目のビールで喉を潤してる。

「何で今日、ちゃんと言わなかったの。」
「だって、雅紀、怒ってたし…。」
「相葉くん、怒ってるのはたぶんそこじゃ
ないと思うよ。」
「え?」


下を向いてた顔を上げると、
穏やかな目と目が合う。


「ウサギとウナギのことじゃなくって?」
「きっかけはそれだと思うけどさ。

なんでか分かんない?」


考えてみるけど、答えが出ない。




「引き留めてくれなかったことを
怒ってる…っていうか、悲しかったんだと
思うよ。


寂しいじゃん?
止めてくれる人がいないのって。
不安になるじゃん?
自分のことが、嫌いだから追いかけて
くれないんじゃないかって。


ましてや、そんな誤解してたら余計だよ。
嫌われてるかもって勘違いしてる上に、
寂しい思いもして。

傷ついてるんじゃないかな。」


翔さんに言われて、はっとした。


ー俺、何してるんだろ。

変なプライド持って、
雅紀の気持ちまでちゃんと考えられなかった。

傷ついてた上に、俺が傷つけたんだ。

「やっと気付いた?」
「うん。俺、謝らないと。翔さん、
ごめんね。話聞いてもらって。」
「いいよ。話くらいならいつでも。」

そうやって優しく笑う翔さんは、
すごく柔らかくて。

「翔さんって、何でいっつも助けて
くれるの?」
「ふふ。」

そうやって笑うだけで、うまく交わされた。



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