DAYS
第27章 時計じかけのアンブレラ Ⅰ S×A
「え!?
雅紀!俺、行かなきゃ!」
雅紀の部屋がどこにあるか何て
分からない。
だけど、そんなことを頭で考える前に
体が先に動いてて。
ベッドから飛び降りて、
地面に足をつけた瞬間
「あ…。」
「ちょ、翔くん。」
立ちくらみがした。
こんな時に、俺の体はいうことを
聞いてくれない。
「俺が支えて行くから。
ゆっくり行こう。ね?」
智くんが、俺の体をいたわって
くれてるのは分かるけど、
「嫌だ。早く行く。」
そう押し通したら、
「子供か。」って怒られたけど、
「じゃあこれに乗って!」と、
智くんが車椅子を持ってきてくれた。
「恥ずかしいんだけど。」
「そんなこと言ってる場合じゃない。
ほら行くよ。」
「わ!」
ものすごいスピードで
病院の廊下を走り抜けてく
車椅子と智くん。
「病院で走らないでください!」
何度も看護師さんに怒られて
とりあえず俺が頭を下げておいた。
病室の前。
入るだけなのに、なぜか緊張してる俺。
智くんよりも、呼吸が荒れている気がする。
…あんな夢を見たからだ。
あれは夢だった。夢。
現実じゃない。
あんなのは悪い夢の中だけだ。
何度も自分に言い聞かせる。
「翔くん、入るよ?」
「うん。」
智くんが車椅子を押しながら、
部屋をこんこんとノックする。
「はい。」と、ニノらしき声が
聞こえて中に入る。
部屋に入れば、ニノと雅紀だけで。
松潤は仕事に行ったみたいだった。
ベッドのすぐ近くに座って、
雅紀の手をぎゅっと握ってる。
雅紀はまだうつらうつらしてるようで、
窓のほうをぼーっと見ていた。
「相葉さん。相葉さん。」
ニノに名前を呼ばれて、
ゆっくりとニノのほうを見てる。
まだ虚ろな瞳のままだった。
「ほら。翔さんが来てくれたよ。
あ、あと大野さんも。」
「俺はついでかよ。」
俺の方を指さすニノ。
「雅紀。」って名前を呼ぼうと
した直前の出来事だった。
「…誰?」
現実は、夢よりも酷なものだった。
To be continueー…