DAYS
第27章 時計じかけのアンブレラ Ⅰ S×A
「ごめ…っ。」
泣いてる自分が情けなくて。
雅紀は今、必死で戦ってるのに
こんなところで泣いてることしか出来ない
自分が情けなくて。
悔しくて。
もどかしくて。
だけど、そんな俺にさえ
智くんは
「何で謝るの。
仕方ないから、今日は泣いてもいいよ。
泣いてちゃ、相葉ちゃんが
心配しちゃうしね。
相葉ちゃんの前じゃ、翔くん泣けない
でしょ?」
って、俺をぎゅっと抱きしめてくれた。
優しく。
だけど、ここにいるよって
言ってくれてるような力強さで。
その優しさにまた泣けてきて。
溜まっていたものが、
全部涙に変わっているような気がするほど
泣いた。
声を出した泣いた。
いい大人が、わんわん言いながら。
その間中ずっと、智くんは
俺を抱きしめてくれてた。
笑いもせず、ただじっと俺を
見守ってくれていた。
智くんからは、智くんと同じ
優しい匂いがしてて。
…本当、この人マイナスイオンでも
出てるんじゃないかな。
泣いたら、肩の力が抜けたみたいで
また深い眠りについた。
ただ静かに、眠りにつくことができた。
今度は悪い夢なんて、見なかった。
「翔くん!翔くん!!」
「ん…?」
智くんの大きく鋭い声が、
まだ覚醒しきれてない頭の中に
飛び込んできた。
カーテンの閉められていない窓からは、
ぼんやりと光が入ってくる。
空が美しい。
ぼんやりと、だけど柔らかい光が
俺を包んでくれる。
清少納言もこんな感じだったんだ。
なんて考えて、ぼーっと空の方を
見ていたら、
「翔くん!寝ぼけてないで!」
体を激しく揺さぶられる。
昨日はあんなに優しかったのに、
今日は何でこんなに雑なんだろ。
時計を見ても、5時を少しだけ
回ったところ。
「もうちょっとだけ…。」
「バカ!早く起きて!
疲れてるのは、分かるけどさ!
相葉ちゃんが!相葉ちゃんが…!」
「え!雅紀!?」
その名前を聞いて、飛び起きた。
「雅紀がどうしたの!?
雅紀!」
「落ち着いて。
相葉ちゃんの意識が戻ったよ!」