DAYS
第29章 エメラルド O×S
どうしても出てこようとしないから、
「…もういいよ。」
少し声のトーンを下げて言って、
くるんと翔に背中を向ける。
荒療法だとは思うけど、
これぐらいしなきゃ出てきてくれないし。
せっかくのオフだから、
少しでも翔とくっ付いてたいんだもん。
そうすれば、やっぱり
「いや、こっち向いてよ…。
智くん…っ。」
ほら。
ぎゅっと後ろから抱きしめられる俺。
その瞬間を待ってましたとばかりに、
ぱっと翔のほうへ向き直すと、
俺も翔を正面からぎゅーーっと抱きしめた。
「やっとぎゅって出来た。
おはよう。」
「おはよ、智くん。」
「そんなに恥ずかしがらなくても
いいのに。」
「だって…。
昨日の俺…。」
そこまで言って、自分で思いましたのか
赤面してる翔。
こんなところも俺のツボ。
俺しか知らない翔を知っていく、
何気ないこの日常が好きだ。
「翔子ちゃん、可愛かった。」
「うっさい。
翔子ちゃんじゃねーし。」
口がちょーっと悪いとこも、
また可愛いんだけどね。
「今度は何着る?」
「は?もう着ないに決まってんじゃん!」
「ナース服とか?
CAとかも似合いそうだなぁ。」
「ちょっと智くん!」
必死になって、俺の肩を
揺さぶってる。
そんな翔に、笑みがこぼれる。
別に、コスプレしてる翔が
見たい訳じゃないよ?
ただ、知らない翔の魅力を
知れるのが嬉しいだけで。
結局、翔が好きなんだよ。
こんな気持ちになったのは
最初で最後だから、
自分でもよく分かんない。
うまく伝えられないことも
たぶんいっぱいある。
だけど、愛してるから。
それだけははっきり分かる。
だから、それだけを信じて。
人生のすべてを捧げて、
誰よりも幸せな夫婦になろっか。
「あー、幸せだぁ。」
「ふふ。なにそれ。」
-end-