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第30章 時計じかけのアンブレラ II S×A









N side




何でいつも俺じゃないんだろう。

何でアイツは、
いつも俺じゃない誰かを選ぶんだろう。


誰よりも近くでお前のことを見てるのに、
何でいつもいつも…。

俺じゃない誰かを好きになるんだろう。



ずっとずっと想ってきたこと。

Jr.のころからずっと。

もう20年近い片想いは、
ずっと現在進行形で。

そんな俺の想いを知ってか知らずか、
アイツはいつも幸せそうで。


だけど、隣にいるのは俺じゃない。

いつだって俺じゃない。




アイツは残酷なヤツだ。


恋の相談の相手はいつも俺で。

失恋を慰めるのもいつも俺で。


何度も一緒に飲んで、騒いで。

ファーストキスの相手も、
アイツだったんだ。

事故に近いキスだった。
でも、俺にとってはこの上ない幸せだった。


それなのに、

なんで俺じゃないんだろう。

俺の前で見せる顔は、
決まって笑顔か、泣き顔で。

幸せそうに、ノロケ話をしてくる笑顔か、
涙に濡れた顔か。

その2つだった。


寝言の中で、
何度俺じゃない誰かの声を聞いただろう。


その時のアイツの顔は、
俺といる時には決して見せない顔をしてて。


その度に汚したくなった。

どこまでも真っ直ぐで、
純粋なアイツを汚したくなった。


だけど、そんなことを思う度に
いつも感じるんだ。


あぁ。

俺って汚れてるんだなって。


もう耐えられなくなってきてた。

この終わりのない片想いに。




そんな時だった。

アイツが記憶を無くしたのは。

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