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DAYS

第30章 時計じかけのアンブレラ II S×A






いつまでもこうやって、
2人っきりで過ごしたいけど、

ここは病院だし。

ちゃんと報告しておかないと。



「とにかく、先生呼ばないと。」


ナースコールを押して、
相葉さんの意識が戻ったことを
伝える。


すると、すぐに何人かの人が
部屋に入ってきて、
色々と相葉さんに問いかけた。

どんな問いかけをされても、
自分の体のことと、

俺のことしか答えられない相葉さん。


あの医者が言った通り、
記憶障害が残ってしまっていた。


先生たちが出て行ってしばらくして、
大野さんが入ってきた。


「相葉ちゃん!

大丈夫?起きてて大丈夫なの!?」


いつもは、こんなに饒舌でない
この人も次から次に、相葉さんに
言葉を投げかけてる。


だけど、どれだけ心配して声を
かけたって、

相葉さんの顔は曇ってくだけで。


「…ごめんなさい。

分からないんです、俺。」


そう、泣きそうな声で答えただけだった。


「…そっか。

俺ね、大野智っていうの。
これからよろしくね。」


この人は、本当に大人だと思った。

涙目になって、声も震えてるのに
それでも相葉さんのことを思って、

寂しさとか、混乱する気持ちとか
全部を跳ねのけてて。


…俺も、ここまで大人になれたら
苦しい想いをしなくてよかったのかな。


「…ニノ、ちょっといい?」
「うん。」


大野さんに手を引かれて、
病室を出た。


「かず、行かないで…。」
「ちょっとだけ待っててね。」


嫌だと駄々をこねる相葉さんを
なんとか押し切って、病室を出た。

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