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DAYS

第34章 Lives M×O




しばらくその場から動けなかった。

ずっと突っ立ったまま。
頭の中は真っ白。


追い出したいの?俺のこと。

ならなんで、
「可愛い」とか、「起こしたくないな」とか
「好きだよ」とか…。

そんな甘い言葉を呟いてたんだ?

俺が起きてるのを知ってて?

ご機嫌取り?


気が付けば、頬に流れる冷たいもの。

早く動かなきゃ潤が出てきちゃうって
分かってる。

今鉢合わせたら、絶対に取り乱す。

だから動かなきゃって…。


バタバタっと、風呂場で音がする。
あぁ、もうすぐ出てくるなぁ…って分かる。

でも結局動けなくて。


「ふぅー…、え!智!?」


風呂場から脱衣場に出てきた
潤が、驚いた顔で俺を見た。

俺の気持ちの問題だろうか、
しまったって顔してるような気がして。


「何でここにいるの?」
「…遅かったから、心配した…。」
「そっか。
もう行くから、待ってて。」
「うん。」


声、震えてなかったかな。

表情、固くなってなかったかな。


どうやってここから出ようか考えてた
俺に、潤はちょうどいい言葉をかけた。

急いで脱衣場を飛び出した。


「あ、火にかけてたの忘れてた。」なんて
言いながら。


「もう何やってんの、智。」


後ろからそんな声が聞こえた。


何やってんのって…。
俺が言いたいよ、そのセリフ。

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