テキストサイズ

DAYS

第34章 Lives M×O





O side



「行っちゃった…。」


止める間もなく、潤は走ってったから
残ったのは潤の残り香とみそ汁の作りかけ。


「よろしくって言った割にはさ…。」


ちゃっかりまな板の上には、
もう切りそろえられた具材。

大根と、玉ねぎと、油揚げ。

具材は適当でって言ったくせに、
全部用意してくれてた。


今日、俺が食べたいなって思ってた
具材ばかり。


「なんで分かるのかな。」


何でも潤には分かってしまう。

それだけ俺のことを見てくれているんだ
って思ったら、何だか照れくさくなった。


出汁からちゃんと取ってる潤のみそ汁は
すごく美味しい。

前日から仕込んで、朝昆布といりこを取る。

そこに具材を入れて、味噌を入れれば
俺たちのみそ汁は完成する。


「みそ汁は家庭のすべて」なんて
いう言葉をどこかで聞いた。

各家庭に味があって、決して
同じ味は他にないのだと。


潤とのみそ汁を飲むと、
母親とはどこか違うなぁと感じる。

だけど、その違いが嬉しい。
俺たちの味って感じがするから。


味噌も入れて、沸騰しない程度に
温めてみても潤は上がってこない。

潤が作ってくれてた他のおかずを
お皿によそってみても、まだ。


「いつもよりおせーな…。」


朝はすぐに入って、すぐに出てくるのに。

何かあったんじゃないかと不安で、
風呂場へと向かう。


トントンっとドアを叩くけど、
きっとシャワーの音にかき消された。


「潤、入るー…」
「はあ…。

別のベッドに追い出そうかな。
一緒に寝るのが辛すぎんだろ…。」


すぐには理解出来なかった。


だって、理解したくなかったから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ