無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

A side


翔ちゃんの機嫌が斜めだ。

翔ちゃんって言っても、
テレビの中の翔ちゃんなんだけどね？


ひとりでテレビの前に座って、
じーっと番組を見てる。


「やっぱり…。何か機嫌悪いなぁ。」


有吉さんと一緒に出ている、個人での
レギュラー番組を見てるんだけど、
何だかピリピリしている感じ。

笑ってはいるんだけど、
でも上手く笑えてないよ、翔ちゃん。


きっと、普通の人なら気が付かない。

ずっと見ているから気づくことが出来る、
ほんの小さな変化。


「…ふふ。」


そんな小さなことに気がつける
自分が嬉しくて。

一緒にいる年月の長さが嬉しくて、
笑みがこぼれてしまったけど、

「違うじゃん。
そんなこと言ってる場合じゃない。」


オープニングから何だかイライラしてる
ってことは、収録前に何かあった？

そう言えば、2週間前くらいに
翔ちゃんが少し荒れてた日があった気がする。


あの時ははぐらかされたけど…。
その日が収録日とかじゃなかったっけ？


ゲストさんと何か…


「あ。」


思い当たる節がひとつある。

もしかして、ゲストが
タッキーだから…なのかな。


そうなのかな、と唸っていた時に

「ただいまー。」

玄関の方で響く、大好きな人の声。