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DAYS

第36章 Mine S×A




バタバタと凄い音を立てながら、
こっちへ向かってくる足音。

誰だ、なんてすぐに検討がつく。


「翔ちゃん!」


その声があまりにも大きすぎて、
驚いて口に入れたままだった薬を
飲み込んでしまった。

量が多くて思わずむせてしまった
俺を見て、何かを察したらしい。

「出して。ほら、全部!」

俺の口に指を突っ込むと、
飲み込んだものを全て吐き出させた。


ハァハァという荒い呼吸の音と、
雅紀が背中を摩る摩擦の音だけが聞こえる。


「何やってんの!バカ!」


雅紀が俺の肩をぐっと持ち上げて、
自分と顔を合わせさせてくる。

いつになく真剣で、怒りに満ちた目だ。

そんな目を向けられているのが怖くて、
目をそらしてしまう俺。


「…お前こそ、何でいんの?」


飲みに行ったんじゃなかったの?
滝沢くんの所じゃないのかよ。


帰ってきてくれたことが嬉しいのに、
でも言えなくて。

自分の気持ちも分からない。

飲んでないはずの薬が効いているみたいに
頭がぼーっとしてる。


「翔ちゃんが心配だったから。」
「アイツより俺なんだ。」
「当たり前じゃん!何言ってんの!」
「アイツはいいの?放っておいても。
約束は?」
「ねぇ、翔ちゃん聞いてー…」


心配してくれてる雅紀の声も、表情も
言葉も何もかも…。

何もかも心に届かないんだよ。

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