DAYS
第7章 crazy for you M×N
M side
「潤くんなんて、だいっきらい!」
疲れた体に、いきなり食らったアッパー
みたいな衝撃。
「え?」
もう日付も変わろうかという時間。
玄関を開ければ、和が体育座りでそこにいた。
そして、俺への第一声が、それ。
さっぱり分からなかった。
「和?」
「嫌いだぁ…。」
それだけ言うと、たたたっと寝室のほうへ
駆け抜けていって閉じこもってしまった。
え。
俺、なんかいけないことしたっけ?
「和ー?」
寝室のドアをノックしながら名前を
呼んでみるけど、返事なんてあるわけなくて。
おまけに内側からちゃっかり鍵が
かけられてて、入ることも出来なくて。
仕方がないから、とりあえずリビングに
荷物を置いて、ソファーに沈み込む。
本当に何が起こったのか、よく分からない。
確かなことは、
和が怒ってるってこと。
…泣いてたってこと。
最近は忙しくて、なかなか二人で
会うことなんて難しくて。
久々に俺だけが知ってる和の顔がみたいなー
なんて思ってたら、泣き顔だった。
しばらくは理由を考えてみたりしたけど、
全く思い浮かばなくて。
もう一度、リビングを出て寝室のほうへと
足を向ける。
「和。開けて?」
「…。」
中から聞こえてくるのは、返事じゃなくて
嗚咽だった。
和。
こっちに来てよ。
ここの鍵をあけてよ。
じゃないと、抱きしめてあげられないから。
本当は寂しがり屋の和。
そんなとこに一人でいたら、
寂しいでしょ?
「かーず。」
いくら呼んでも返ってこない返事に
悲しくなってきた。
寝室のドアに張り付くように
もたれ掛かりながら座り込む。
理由が分からない。
本当に何があったんだろ。
和。帰ってきた時に、
玄関で張り付いて待ってた。
今日?
「あ…。」
今日は早く帰ってきてね。
昨日、和から言われた言葉を今思い出した。
ちょっと照れた様子で囁くように俺に
そう言った和。
予定では、今日は珍しく19時までには
終わる予定だった。
それが、今は23時を回ってる。
…やっちゃったな…。