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DAYS

第38章 SUPER×2 LOVE SONG A×S





「けど、やっぱり気のせいだよーーー。」


開始から3時間。
苦戦を強いられている。

まだオーブンに入れるどころか、
メレンゲも泡立たない。


「マジかぁ…。

まさかここまで出来ないとは
思ってなかった…。」


小声で言ってるけど、松本くん。

ぜーんぶ聞こえてるんですけど…。


「ちょっと難易度が高かったかな?」
「ちょっとじゃないよ!」
「俺が作った時はうまくいったんだけど…。」


挑戦しているお菓子はザッハ…なんちゃら。

なんだっけ。
ザッハトルコ?トリル?トリコ?


「ザッハトルテね。」
「それだ。」
「時間的にもそろそろ焼いてないと…。

もう少し簡単なのに挑戦しよう。」
「はい…。」


ガトーショコラなら何とかなるよって
言われたから、それに挑戦してみる。

これはメレンゲいらないんだって。


「雅紀はチョコ好きだから…。」
「じゃあピッタリだよ、きっと。」
「出来る気しないんだけど…。」
「大丈夫。さっきより何倍も簡単。」


そう言われたから挑戦してみたけど、

「ああ!湯煎のチョコにお湯入った!」

「卵の殻が入った…。」

「砂糖と塩間違えた…。」


ここまで来ると、さすがに松潤にも
疲れの色が見えてくる。


「ふぅ…。手強いかも。」
「すいません…。」
「落ち着いてやれば大丈夫だよ。

ほら、もう1回頑張ろう。ね。」


死ぬほど不器用な自分に泣けてくるけど、
泣いてる時間なんてない。

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