
襲われちゃう女の子
第3章 家庭教師のアルバイト
それから数週間後、廉くんにテストがあってから初めての家庭教師の日。
「美奈子先生、ちょっと私出掛けてくるから廉のことよろしくね?」
「はい、いってらっしゃい」
すれ違うように廉くんのお母さんと別れた。今日雨降りそうだけど大丈夫なのかな。
いつものように2階の廉くんの部屋に足を進める。
大丈夫だよね、流石に全教科満点なんて漫画の世界だし。
「(そもそも本当に付き合うなんて無理だし)」
何かあったら、逃げよう。
「こんなところで何してるの?」
「わっ」
気が付けば目の前のドアを廉くんが開けていた。
突っ立っている私を見て「中に入りなよ」と促す。
少し怯えながらも彼の部屋に入る。
そしていつも通り彼の隣に腰を下ろすとさっそくテストの話に移った。
「試験の成績返ってきたの?」
「うん、全部あるよ。これ」
「……」
彼からその紙の束を受け取ると点数に目を向ける。
私は目を疑った。持っているテストの答案用紙に書かれた点数が全て100点だったからだ。
何これ、冗談だよね。
「これ、全部?」
「そうだよ、副教科もあるでしょう?」
「……」
嘘、でしょ。
「全教科満点取ったら付き合ってくれんだよね?」
そう廉くんが私を眺めて笑った。
