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ペットではなく家族です。

第6章 コウの場合



省吾「所詮、動物は動物だからさ」

奈穂子「…」

省吾「だから奈穂子も」

奈穂子「止めて…止めてください」

運転手「あっはいっ」

奈穂子「…」

省吾「奈穂子?」

奈穂子「私、歩いて帰る…」

省吾「奈穂子」

奈穂子「これタクシー代、おやすみ」

省吾「…」


お金を渡し
タクシーを降りた奈穂子
省吾の一言で酔いも一気に冷めてしまい
気分は台なし…


奈穂子「…はあっ」


道行くタクシーを止めようとするが
金曜日の夜という事もあり
なかなか捕まらず
結局
歩く事に


奈穂子「…」


無意識に歩き続け
到着したのは自宅ではなく動物園

だけど既に
閉園時間は過ぎていた
門は閉まり中へ入る事は出来なかったが
奈穂子は園の社員

社員用の入り口から園中へ入り
動物達を見て回った


奈穂子「こんばんは、まだ起きてたの?
早く寝なきゃ」


一匹一匹に声をかけ
目を見つめ手を振り会話をした
会話といっても奈穂子が一人で話すだけ
だったが
それで良かった

声に出す
言葉にする事で
冷静に気持ちを整理する事が出来た

色々と…


奈穂子「…コウ」

コウ「…」


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