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ペットではなく家族です。

第9章 クロ様の場合



新之助「で、君の名前は?」

朱美「名前…は…」


教師なら問題ない
新之助の様子を伺いながら
目の前の菓子パンに手を伸ばしたが…


朱美「!!」

新之助「食べたかったら名前」

朱美「…朱美」

新之助「名字は?」

朱美「…加藤…あっ加藤じゃなくて前田
だったかな…もう何回も変わってるから
名字なんて忘れちゃった…」

新之助「まぁいいや」

朱美「…」

新之助「じゃあ約束通り」

朱美「…ありがとう…ございます」

新之助「じゃあ俺は戻るけどサボるのも
ほどほどにな」

朱美「…」


菓子パンを手に
旧校舎へ戻った朱美

空腹で堪らなかったが明日の事を考え
菓子パンを半分残しその日は
旧校舎で眠った


朱美「…おやすみなさい」


冷たい床
ホコリっぽい教室
寝苦しい場所だったが贅沢は言えない

義父がいないだけで幸せだった
本当に…


朱美「…」


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