ペットではなく家族です。
第9章 クロ様の場合
朱美「…」
朝の時間を利用し
朱美は一旦家に戻る事にした
もちろんあの家に戻る気などは更々なく
家を出る為に荷物を取りに戻った
それだけだった
朱美「…まだ寝てるみたい」
音を立てないよう
静かに玄関のドアを開けると
バレないよう靴を手に持ち自分の部屋へ
向かった
朱美「服と下着と…」
一番大きい鞄に
夏服と冬服、下着を数枚詰め込み
もう二度と戻らない覚悟で部屋を出よう
とした
その時…
母親「あなた、そろそろ時間よ」
朱美「!!」
母親の声と共に
足音が部屋に近づいて来る
台所の電気が付いていなかったから
まだ寝てると思ったが
起きていた
予想外だった
母親「あなた、起きて」
義父「あぁ…もうそんな時間か」
朱美「…」
息を殺し
気配を消す朱美
両親の部屋は自分の部屋の隣にある
義父が家を出るまであと40分
40分、必死に耐えた
朱美「…」
義父「じゃあ行くよ」
母親「行ってらっしゃいのチュー」
義父「チュー?」
母親「別にいいでしょう、朱美がいると
チューも出来ないし、ねぇっ」
義父「そうだな」
朱美「…」