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第23章 さようなら

ある早朝 舞がごみ捨て場に ゴミを捨てた時に 突然 ガラガラと後ろの扉が開いた音がした。

振り向くと そこには 梶原が立っていた。

「 ヒッッ …‼︎ ‼︎ 」

そこに立っていた梶原は 昔の彼でなかった。

げっそりと瘦せこけ 無精髭を生やしている。

痩せた顔に 目だけが ギラギラと眼光鋭く光り 舞を睨みつけていた。

梶原は 扉をガチャンと閉めると 舞に向かって一直線に歩いて来て 舞の手首を掴み 壁に押し当てた。

「 舞‼︎ お前 どうして俺を避けるんだ! 電話もメールも拒否して ‼︎ どういうつもりだよ! 」

そう言うと 手首を捻じ上げた。

「 ああっ‼︎ 痛いっ ‼︎ 待って ! 雄介 話すから… ‼︎」

すると 梶原は少し力を緩めた。

「 もうね 私達の事 真弓さんにも 主人にも 知られてしまったの。 もうこれ以上は 会う事は出来ないわ… もうこの関係を 続けられない… だから わかって⁇ 」

舞は 目を潤ませて 梶原を見つめた。

「 もしかして 真弓がなんか 言ってきたのか…⁈ 」

「 そうじゃないわ。 私達が旅行した事 近所の人か 幼稚園の人に見られたのよ! だから 知られてしまったの。
真弓さんは 何も言ってないわ‼︎ 」

舞は 咄嗟に嘘をついた。

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