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覚醒

第22章 暗黒の性の鎖

それから、数ヵ月程経ったある夜のこと。

ピンポーン

玄関のチャイム。

「誰かしら?…」

ドアを開けると、そこには真剣な表情の康太が立っていた。

「康太くん…」

「真実…こんな時間にごめん。今日は君のお父さんに話が…」

「やぁ、垣元くん。久しぶりだね。さぁ、遠慮せず奥へ」

康太は聡の顔を見ると、モヤモヤとした複雑な気持ちが湧いてきたが、なんとか形だけの挨拶をした。

この家に入ると、あの日のことがまざまざと脳裏に蘇る。

忌々しい記憶の筈なのだが、何故か躰の芯が熱く騒ぐ。

リビングのソファに座ると、聡が切り出した。

「元気そうだね。よく来てくれた。あの時は、本当にすまなかった。許してくれ…。この通りだ…」

聡は深々と頭を下げた。

「…いや、あの、はぁ…」

康太は戸惑いながら、返事にならない言葉を返した。

真実はコーヒーを出した後、聡の隣に座り、ずっと下を向いていた。

「垣元君、今日は私に話が?」

「…あ、はい…。

…私はあれからボロボロになっていました。中々立ち上がることが出来ず、学校も辞めようと思っていました…。

でも、私の中から、どうしても真実さんのことが消えなかった。いくら忘れようとしても、どんどん真実さんが私の中で大きくなっていたんです…。

真実さんのことしか考えられなくなって…。真実さんと一緒にいたいと…。学校もちゃんと卒業して、真実さんを幸せにしたいと強く思うようになったんです。

でも、真実さんはお父さんを愛している…。私のことなど愛していない…。それでも…それでも…」

込み上げてくる熱いものに言葉が詰まり、それ以上続けることがでかきなかった。

「…それで、真実を欲しいと?」

「はい。真実さんと結婚させて下さい」

聡は暫く沈黙して考えていた。そして

「…よし。分かった。一緒になりなさい」

「パパ!嫌よ!どうして?私はパパのものよ?誰とも結婚なんてしないわ!」

「但し、垣元君に条件がある。真実が君と結婚しても、私は真実を抱く。こんな無茶な条件が呑めるのか?」

「!…クッ!…わ…分かりました。真実さんとあなたを切り離すことなど出来ないと思ってましたから…」

康太は膝の上に置いた拳を強く握り締め、悔しさを圧し殺して承諾した。

「…そ、そんな!嫌よ!パパ!どうして?!」

「真実、これはパパの命令だ!」

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